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横丁「食」コラム 〜 ボルシチ 〜

「ボルシチ」は、ロシア料理の中でも、日本に深く入り込んでいるものの一つで、
「肉と野菜を煮込んだスープ」と表現すると分かりやすいでしょう。


「ボルシチ」という言葉は、スラブ語で「赤カブ(ビーツ)」のことを指しています。
よって、赤カブが入るのが本式で、赤カブが入らないボルシチというのはありえません。
「ボルシチ=赤カブスープ」と考えてもらっても差し支えないです。
例外はモルダビアのボルシチで、こちらは赤カブが入りません。



ロシアは東西に広がっているため、町によって、村によって、
ボルシチのレシピは千差万別です。
各種野菜に牛肉、鶏肉、魚、ビスケットなどいろいろなものが入りますが、
前述したように「赤カブ」だけは欠かせません。
日本では「トマトベースのスープ」と勘違いされていることが多いのですが、
あくまで「赤カブベース」です。


ちなみに、ボルシチはロシア料理としてよく知られていますが、
本来のルーツは「ウクライナ」にあります。
そして、そのウクライナは、それほど寒くありません(真冬でも、せいぜい0℃前後。
東京とあまり変わりありませんね)。
つまり、温暖な国から厳寒の国へ伝わり、そこで定着した料理なのです。
寒さをしのぐ必要のない国の料理が、寒さをしのぐ最高のご馳走に発展したのは
面白いところです。


現在では、「ロシア風ボルシチ」、「ウクライナ風ボルシチ」、
ごった煮に近い「シベリア風ボルシチ」というように、分けて表現することもありますが、
各家庭によってレシピが違うぐらいなので、こうした分類にあまり意味はないでしょう。



ウクライナの歴史についても少し触れておきます。

人口は約4800万人。
面積は、日本の約1.6倍です。
現在の首都は「キエフ」というところですが、
ロシア文化はキエフが発祥とされるほど、由緒ある国です。


ウクライナは「白ロシア」とも呼ばれ、ボルシチのみならず
ロシア文化に多大な影響を与えてきました。

しかし、その一方で、ポーランド、ロシアといった大国に蹂躙され続けた
悲劇の歴史があり、旧ソ連時代は、国家としての主権も剥奪されました。
「ペレストロイカ」による旧ソ連の解体により、
ようやく真の意味での独立を果たしたと言えるでしょう。


現在、ヨーロッパでは、ロシアに次ぐ大国です。
失業率も低く、国内情勢は安定していますが、経済的にはそれほど恵まれていません。
一人当たりのGNPで比較すれば、日本の10分の1にも届きませんから。



ボルシチの話に戻しましょう。


日本に伝わったのは明治末頃とされています。
ロシアから亡命してきた盲目の詩人「エロシェンコ」が調理法を伝えました。
調理法を伝授されたのは、あの有名な新宿中村屋です。

中村屋の創業者である相馬夫妻は、エロシェンコの生活の面倒を見ていましたが、
同氏は、社会主義に偏って日本を追放されてしまいます。
相馬夫妻は、遠くへ去った詩人への想いを込めてボルシチを創りあげ、販売しました。
それが日本で初めてのボルシチです。



食べてみれば分かりますが、真っ赤な外見の割に味はあっさりしており、
飽きが来ません。具材を変えることでバリエーションも無限に広がります。

また、寒さの厳しいロシアに住む人たちは、ボルシチ食べて
冷えた体を温めるのが当たり前。
「日本人にとっての味噌汁」のような存在です。
さらに黒パン、ウォッカをつければ言うことありません
日本でも、寒い地方に住んでいる方は、
こうした楽しみ方をされてみてはいかがでしょうか?
管理人は酒があまり飲めないので悔しいところですが。



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