横丁「食」コラム 〜 へぎそば 〜


「へぎそば」というものをご存知でしょうか?


まず「へぎ」についてですが、これは、そばを入れる器の名前で、
「木製・浅底の四角い箱」です。
昔は、板を「剥いで」作っていて、この「剥ぐ」が「へぐ」というふうに訛って
(新潟県小千谷市のあたりの訛り)、いつしか「へぎ」と呼ばれるようになりました。


「へぎそば」は、そば粉にのつなぎとして、
「布海苔(ふのり)」と呼ばれる海草を使って打ってあります。
「へぎそば」は、茶そばよりは少し薄めの淡い緑色をしていますが、
それは、「布海苔」の色に影響されたものです。
コシが強いのですが、喉越しは意外なほど素直で、つるっと入ってしまいます。


このそばは、新潟県の魚沼地方、特に「小千谷(おじや)市」が発祥地とされ、
現在では「小千谷縮(越後縮とも言います。綺麗な織物ですよ♪)」と並ぶ、
名産品の一つとなっています。
ちなみに「小千谷縮」を織る際にも布海苔を使いますので、
小千谷で「へぎそば」が作られたのは、ある種の必然だったのかもしれません。



「布海苔」についても一言。

「布海苔」は、「青森県風間浦村」という、
本州の最北端に位置する漁村が発祥の地です(石碑もあります)。

明治初期、護岸工事のための「捨石」に付着していた物体が「布海苔」で、
以後、全国に流通していきます。

新潟では、すでに「小千谷縮」を織るための「布海苔」が流通していたのですが、
「へぎそば」のパイオニアたちは、青森まではるばるやってきて、
よい「布海苔」を手に入れていたそうです。
交通手段の発達していない当時のことを考えると、その熱意には頭が下がります。

なお、風間浦村では、「布海苔体験ツアー」というのが開催されていますので、
ご興味のある方はどうぞ(ただし、真冬の青森の海で採るため、それなりのお覚悟を。
管理人は・・・行っていません(←寒いのがいやと言っているわけではありませんよ)。


 【お問い合わせ・申し込み】
  風間浦村商工観光家内(布海苔採り体験ツアー実行委員会)
  TEL 0175−35−2111、FAX 0175−35−2403



余談・・・

私と「へぎそば」の出会いは、新潟県川西町にて。
県内でチェーンを展開する「小嶋屋」という店で食べました。


いわゆる日本そばとはまるで違う歯ごたえ、食べ応えに驚きました。
また、つゆと和辛子(「へぎそば」には、わさびより和辛子のほうが合います)の
組み合わせにも感激し、あっという間に食べてしまいました。
その後、十日町でも、個人経営の店で食べる機会があり、こちらも美味しかったです。「へぎそば」を食べてみたいと言っていた友人たちも感激してくれました。


店に食べに行けば分かりますが、そばを「へぎ」にただ盛ってあるのではなく、
「馬蹄型」に巻き、一口ずつ分けて盛ってあります。
こうすると一口ずつ取りやすいだけでなく、時間がたってもくっつきにくくなります。

これは、食べやすさを配慮してのものですが、何より見た目が綺麗です。
その盛り方を、「海の波」にたとえる人もいれば、
小千谷縮で使われる「紡いだ糸」に似せていると見る人もいます。
私は、先ほど「馬蹄型」と書きましたが、
その通り「馬の蹄」と感じました(無粋ですね・・・)。


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