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横丁「食」コラム 〜 とこぶし 〜
「とこぶし」という貝をご存知でしょうか?
その形状から、アワビと比較されることがよくありますが、別の貝です。 アワビの貝殻は、ごつごつしています。 一方、とこぶしの貝殻は、アワビに比べてツルツルしており、表面に模様があります。
管理人が食べてみたところ、とこぶしは、とても美味しい貝でしたが、 アワビに比べて漁獲量も多く安価だとのことです。 ちなみに、楽天市場のお店では、「あわび」は100gで1200円〜1500円程度。 一方、「とこぶし」は同500円程度でした(楽天に出店されていないネットショップにて)。
生で食べるのにはむかないようですが、 貝殻ごと焼いたり、煮付けにしたり、ご飯に混ぜたり、食べ方は色々あります。 特に「とこぶしご飯」は絶品との評判です。 食べたことのない方は、ぜひお試しください(管理人も食べたことないですが・・・)。
「とこぶし」は、別名「流れ子」、「ふくだめ」とも言います。
「流れ子」は、和歌山、京都、高知あたりでよく使われています。 「ふくだめ」は、三重県の伊勢・鳥羽などでの方言です。
「流れ子」という呼び名からは、あまりよい印象は受けませんね。 安産を願っている方には、もってのほかでしょう。 しかし、不吉な意味はなく、貝なのに「流れるように」這うことができるので、 このような呼び名がついたのです。
一方、「ふくだめ」は、漢字にすると「福多目」。
伊勢地方には有名な「伊勢神宮」があります。 その中には、「子安神社」と呼ばれる「安産祈願」のための神社もあります。 そう、間違っても「流れ子」などという名で呼ぶわけにはいかなかったのです。 そして、いつしか「ふくだめ」という呼び方が定着したのです。
もちろん、こうした状況は他の地方でもあったのでしょうが、 伊勢神宮では、その歴史・規模・知名度から考えて、 無視することはできなかったのでしょう。
とこぶしは、日本全国の磯に生息しており、 素人でも、水中眼鏡でもかけて、ちょっと潜れば獲れるそうです。 しかし、各都道府県には「漁業権」なるものが設定されているので、 勝手に獲ってはだめです。
また、「4cm以下」のものは、漁業権の有無に関わらず捕獲が禁止されています。 他にも、あわびは10cm以下、うなぎは25cm以下など、 それぞれに細かい規定があります。 いわゆる「資源保護」のためですね。 なお、とこぶしは、最終的に7cmぐらいにまで成長します。
余談・・・
管理人は、神奈川県・真鶴町(現・湯河原市)にあるペンションで、 初めて「とこぶし」を食べました。 夕食に出たのですが、普段からメニューにあるわけではなく、 「今日、採れたもので美味しいから・・・」ということでマスターが出してくれました。
貝殻ごと炭火であぶると、とこぶしのエキスが沸騰します。 サザエや大き目のはまぐりのような感じですね。 そして熱々のところを食べてみました。
言葉にならない美味しさですね。 旨み・苦味・塩気が混ざり合った味で、他では味わえない珍味です。 正直いってアワビよりうまいと感じました。
「匂いマツタケ、味シメジ」という格言がありますが、 「歯ごたえアワビ、味とこぶし」といったところでしょうか。
なお、管理人が食べたのは冬ですが、旬は5月頃からとのこと。 その頃になったら、ぜひ食べてみたいものです。 |