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横丁「食」コラム 〜 和三盆 〜


「和三盆」
名前を聞いただけでは、何か分からない方も多いでしょう。
日本で作られる砂糖の一つで、
特に、「和菓子作り」に珍重されている砂糖です。


舐めると、甘いながらも「すーっとする」砂糖です。
和菓子に多用されますが、
その中でも、特に「落雁(らくがん)」にはよく使われているので、
名前を知らなくても、口にしている方は多いと思います。



原産地は、四国の徳島県・香川県のみ。
今でも、大部分の工程を機械に頼らずに生産されていますが、
そのぶん大量生産は見込めず、とても貴重な砂糖となっています。


原材料は、一般の砂糖と同じく、サトウキビ(砂糖黍)です。
しかし、沖縄などで栽培されているものとは異なる品種である、
「竹糖(ちくとう)」と呼ばれる品種が用いられます。


竹糖は、徳島県と香川県のみで栽培されており、
南方で栽培されているサトウキビよりは、背も低く、太さもかなり細いため、
地元では「細黍(ほそきび)」と呼ばれることもあります。


「細黍」という名から想像がつくとおり、南国産のものに比べると収穫量がかなり低く、
その意味でも和三盆は希少な砂糖といえるでしょう。



和三盆の製造工程は、非常に手間がかかるものです。
簡単に説明すると、


絞る→アク抜き→不純物抜き→冷却→荒がけ(蜜抜き1)→研ぎ(蜜抜き2)→粉砕


それぞれの工程に「荒釜」、「すまし桶」などの業界用語(?)があります。
これらの工程の中でも一番大変なのが「研ぎ」です。
「蜜を抜く」と同時に「砂糖を、より白くする」ための工程でもあります。
研ぎをしないと、黄色味がかったままになってしまい、売り物になりません。
今も昔も、砂糖は白いものに人気が集まっているのです。


伝統的な「研ぎ」は、全くの手作業で行なわれます。
手に水をつけて、砂糖の中に残っている蜜を搾り出すようにしてこねます。
タダこねればよいというわけではなく、
品質を均一に保つためには、室内の気温・湿度や研ぐ時間にまで気を配る必要があるため、
相当な熟練の技が要求されます。


和三盆に限らず、伝統産業全般に言えることですが、
「後継者が育たない」「職人の高齢化」などの問題が山積しており、
残念なことに、現在では完全な手作業で研いでいるところは限られてきているそうです。


なお、「和三盆」という名は、この「研ぎ」に集約されており、
「盆の上で三回研ぐ」ことからついた名前とされています。
現在では、昔より白い砂糖が好まれているため、
4回〜5回は研ぐそうです。


実際に研いでいる現場を見たことはありませんが、
資料を見てみると、粘土をこねて空気を抜く過程の動きと似ているように思えます。



これまで述べてきたように、和三盆は貴重な砂糖ではありますが、
近年のグルメブームでその価値が見直され、
和菓子一辺倒だった用途にも、大きな変化が訪れています。


一般家庭では、料理に使用する方が多くなっています。
高価なため、あまり普及していなかったのですが、
ちょっとした贅沢品として活用されています。
インターネットで調べれば、レシピも数多く見つかります。


好みの分かれるところではありますが、
コーヒーや紅茶に入れられることもあります。


また、洋菓子に用いられるようになったのは、特筆すべきことでしょう。
ただし、高級なものに限定されます。
ロールケーキは普通一本600円とか、800円ぐらいのものですが、
和三盆を使っていると、1000円以上に跳ね上がりますよ。



余談・・・

子供の頃、「落雁」をよく食べることがありました。
家族がよく食べていたので、口にしてみたのですが、
最初はあまり好きではありませんでしたね。


普通の砂糖の甘さを期待していた子供にとっては、
落雁、もとい和三盆の甘さというのは、とっつきにくかったかもしれません。
しかし、落雁が出る日がけっこう続き、食べているうちに好きになりました。
「癖になる」という類のものではありませんが、
すっきりした甘さには、独特の魅力を感じます。


伝統・味・傾けられている労力のどれをとっても、
日本が世界に誇るべき砂糖ですので、廃れないでほしいものです。


東京でも和三盆作りを体験したり、見学したりできるようなところがあると
いいんですがね。

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