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横丁「食」コラム 〜 湯葉 〜
「湯葉」。 とても綺麗な響きを持つ言葉ですね。 昔の日本人の言語感覚の豊かさを象徴するような、素敵な言葉です。
湯葉は大豆を原料とする食材です。 作り方は、大豆食品の代表である「豆腐」を作る工程と関連が深くなっています。 作り方は以下の通り。
・大豆を一晩水に漬ける。 ・水を注ぎながらすりつぶして、煮る。 ・煮あがった大豆を布で濾す(このときに出る汁が「豆乳」です)。 ・豆乳を鍋に移し、加熱すると表面に湯葉(薄い膜状になる)が発生! ・生で食べてもよし、乾燥させて後で使うもよし
豆乳に「にがり」をうつと、凝固して豆腐になってしまいますが、 その前の段階で加熱して、湯葉を出してしまうわけですね。
できたものをすぐに引き上げれば「生湯葉」、 乾燥させると「乾燥湯葉」となります。 また、引き上げた生湯葉を、その場で食べる場合は「汲み上げ湯葉」と呼ばれ、 もっとも贅沢な食べ方とされています。
一般家庭でもできますが、いつも同じようなものを作るのは至難の業です。 大豆の状態、水温、煮たり加熱したりする時間の管理が難しく、 綺麗なものを作るには、熟練した湯葉職人の技が必要となります。
湯葉の歴史は古く、禅僧の手によって「中国」から伝えられたとされています。 豆腐と一緒に伝えられたそうです。 二千年の歴史があるとの説もあります 日本での伝播に一役かったのが、現在の京都周辺のお坊さんです。 大豆食品ということで、菜食主義の仏教僧にとても重宝されたのです。
名前の由来は、その色や表面の皺が、「老婆の皺」に似ているところから、 「うば」「ゆば」と呼ぶようになったとされています。 古くは「腐皮」と書いて「うば」と呼んでいました。 見たままとはいえ、「腐った皮」とは、ずいぶん汚い表現ですよね。
このように、食品としての歴史は古いのですが、 「湯葉」という名称が使われだしたのは徳川時代からとのこと。 「和漢三才図会(江戸時代の医師・寺島良安著)」という百科辞典に、 初めてその記述が見られるそうです。
以下は、湯葉の簡単な分類です。
生湯葉
引き上げゆば 「刺身」(こう表現されます)として、しょうが醤油やポン酢で食べられます。 巻物や包み揚げの素材としても重宝されます。
つまみ湯葉(汲み上げ) 引き上げ湯葉を、とても薄くつまみ上げた湯葉です。 刺身として食べられますが、柔らかすぎるので何かを包むのには向きません。
巻ゆば 生湯葉を細長く巻き上げたものです。 焼くこともあります(焼き目がつく程度)。 お吸い物の具にしたり、煮物や鍋物の具材として使われます。
乾燥湯葉
お湯で戻して使います。 刺身で食べるのには向きませんが、料理には使いやすいでしょう。 戻し加減により、柔らかさも調節がききます。
なお、豆乳が煮詰まって、もう湯葉ができるかできないか、 最後のぎりぎりの段階で引き上げられた湯葉を「甘湯葉」といいます。 煮詰まっているので旨み・甘みが濃いのが特徴です。 最後の一枚なので希少価値があり、一般庶民の口には入りにくいのですが。
余談・・・
湯葉は、最近は居酒屋チェーンなどのメニューにも出てくるぐらい、 身近な食材となってきました。
「高級食材」「歴史のある食材」などとよく言われますが、 考えてみれば、大豆が原料なのでそれほど高価になるわけもないんですよね。 ただ、湯葉をとったあとの豆乳は使い物にならず、捨てるしかないので、 資源効率はとても悪い食材です。 そうした面からすれば、貴重なものです。
「京都のお坊さんが伝播した・・・」と先述しましたが、 実は「秘伝」の食材で、一般に伝わるようになったのは最近のこと。 豆腐に比べれば、大豆を無駄にする部分が多いわけで、 お坊さんがそれを奨励するわけにもいかず、秘伝となったのではないでしょうか。
値段はピンキリで、100g300円程度のものから、1000円近くするものまであります。 いずれにしても、食材としてのすばらしさは言うまでもありません。 和風のイメージが強いですが、どんな食材にも良く合います。 チーズを包んだメニューなんかも出ていますが、美味しいですよ。
日常的な食材となったのは最近のことなので、 今までに試されたことのないような食材との組み合わせがでてくるかもしれません。 楽しみ楽しみ・・・♪ |