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横丁「食」コラム2 〜 日本の食料自給率 2〜
日本の食料自給率の低さの原因はどこにあるのでしょうか? それには、以下のようなことが考えられます。
1.山地の多い土地事情
2.平野部への人口集中(住宅用地が増え、農業用地が少なくなる)
3.産業構造の変化(農業離れ)
4.日本人の食生活の変化
これらのうち、1〜3は、農作物の生産量に直接影響します。
たとえば「3」についてですが、 日本は戦後、経済的な豊かさを求めるあまり、 農業を大事にしない時期がありました。
第二次世界大戦後、日本の産業は、 「農業・水産業」を筆頭とする第一次産業から、 工業・建設業など「モノづくり」を中心とした第二次産業、 そして、「サービス」を売り物にする第三次産業へと産業構造が変化していき、 現在でもその傾向は続いています。
こうした産業構造の変化に伴い、 農業に見切りをつけ、都市部へ移動する者が激増しました。 もちろん、国も積極的にそれを奨励してきました。 いわゆる「高度経済成長期」ですね。
これにより都市部(平野部)での人口が過密状態となり、 農業用地を確保できなくなり、 都市部から農業が消えていったのです。
しかし、現在、日本の食料自給率の低下は、 冒頭で紹介しました「4」、つまり、
「日本人の食生活の変化」
によるところが大きいと考えられるようになっています。 というのは、「収穫しても、食べなければ食料自給率には換算されない」からです。 つまり、収穫量・人口がそのままであっても、食料自給率は下がりうるのです。 もっと言えば、農業・畜産人口が増えたとしても、下がる可能性があるのです。
なぜ、このようなことになってしまうのでしょうか?
日本では、ご存知のように「コメ」はたくさん獲れます。 しかし、戦後、「食事の洋風化」が進み、 パン・ラーメン・パスタなど「小麦」を使った食品が多く食べられるようになりました。 分かりやすく説明すると、以下のような現象が起きていることになります。
100人のヒトが100のコメを食べる。 その国では、年間に100のコメがとれる。 食料自給率は100%。
100人のヒトが50のコメを食べ、50の小麦を食べる。 その国では、年間に100のコメがとれ、20の小麦がとれる。 コメの50は賄えるが、30の小麦は輸入することになる。 すると、食料自給率は70%。
100人のヒトが70のコメを食べ、30の小麦を食べる。 その国では、年間に100のコメがとれ、20の小麦がとれる。 足りない10の小麦を輸入する。 食料自給率は90%。
このように、国内で国民を賄うだけの作物が収穫できていたとしても、 食べられることがなければ、自給率には換算されません。 「収穫量」ではなく、 「国民が実際に食べているもの」を基準にして換算されるのです。
上記の例は非常に単純化したもので、 現在では、食料自給率の計算方法は「カロリー」を基準にしています。 食品の品目ごとのカロリーに、それぞれの自給率をかけ合わせ、 合計したものが、全体の自給率となります。
さらに、「牛肉」を例にとると、自国で育てた牛であっても 飼料を輸入していれば、食料自給率計算上は「輸入物の牛」に近い扱いとなります。
「豚肉」にいたっては、55%が国内生産ですが、 飼料自給率が10%程度のため、最終的な自給率は約6%(!)にしかなりません。
全ての食材がこの調子で、 さらには、料理で使う「油」なども、同様の形で計算されます。 ちなみに「菜種油」などの食用油は、90%以上を輸入しています。 「食料自給率40%」も納得できる数字ですね。 管理人の食生活を調査すれば、多分、40%はいかないと思います。
日本人の生活を変えていく(昔に戻す)のは、容易に実現できることではありません。 現在の日本は、「選択の自由」が保障されている社会であり、 生活様式の押し付けは、人権侵害となります。
そこで、食料自給率を向上させるには、 小麦・大豆・飼料作物(家畜の餌用)への農業転換が必要となっています。 べつに悪いことではないので、積極的に推し進めたいところですが、 そうは簡単にいきません。
まず、日本は世界で8番目の人口を抱える大国です。 一方で、国土は世界で60番目程度の広さ。 人口密度が高く、しかも穀物生産に適した平地に人が集中しているため、 農業用地を満足に確保できません。 これは、コメが小麦や菜種に代わったところで、変化するものではありません。
日本の農業は、ただでさえ経営が厳しいのに、 狭い土地での穀物生産は、さらに利が薄くなり、誰もやりたがりません。 よしんば取り組んでみたとしても、 量が作れないぶん、輸入物に比べればどうしても価格が高くなり、 消費者が手を出しづらいという現実もあります。
かといって、政府が自国の農業保護に走れば、 「WTO(世界貿易機関)」に、にらまれてしまいます。 結局、海外からの輸入に頼るしかない、 というか輸入しなきゃ食べていけないというのが、現状なのです。
しかし、同じ島国であるイギリスは、1970年度の食料自給率は46%でしたが、 小麦の増産などに取り組み、74%(2000年度)まで高めることに成功しています。
日本と同じ山がちな国土を有するスイスも、 1970年には、40%台だった食料自給率を、 2000年には、60%にまで回復させることに成功しました。
ただし、憲法にまで小麦の自給率を明記する徹底ぶりです。 憲法に明記している以上は、 その数値(以上)を死守しなければ、憲法違反となってしまうため、 政府は、輸入管理や農産物の価格支持に、必死で力を注いでいます。 そうすることで農家・農業を保護し、農業離れを防いでいるのです。
スイスの例から分かることは、 穀物生産に向かない国が自給率を高めるためには、 相当な努力が必要ということです。 日本も、スイス以上に力を注がなければ、 食料自給率の回復は見込めそうもありません。
しかし、日本でも、具体的な数値目標として、 公明党が「食糧自給率、2025年には50%」というのを掲げています。 このように具体的な話題をどんどん出していくことが必要ですね。
もちろん、「農業離れ」への対策も最重要課題です。 これについては、別のコラムで書きたいと思います。
世界主要先進国の食料自給率(2000年度時点)
日本:40% スイス:61% イギリス:74% ドイツ:96% 米国:125% フランス:132% オーストラリア:309% |