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横丁「食」コラム2 〜 バイキング料理 〜
「バイキング料理」とは日本だけでの言葉のようです。
昭和32年(1957年)のこと、当時の帝国ホテルの支配人であった 犬丸徹三氏がデンマークに渡航しました。、
その時、現地の「好きなものを取って食べる食事スタイル(スモーガスボード)」に 感銘を受けたのがきっかけで、昭和33年(1958年)に犬丸氏は、 帝国ホテル内に「インペリアル・バイキング」というレストランを開きました。
このレストランの方式にのっとって「バイキング料理」という言葉が生まれ、 今では日本中のレストランやホテルでこの形式が多用されています。
このように「バイキング形式」の由来は、 北欧の「スモーガスボード(smorgasbord)」、 つまり「サンドウィッチテーブル、色々取り揃えたご馳走」にあるのです。 北欧では伝統的かつ当たり前の食事形式なので、 「〜料理」というような特別扱いはされません。
この「スモーガスボード」の起源は、友人・知人が有り合わせの食べ物を持ち寄って、 色々な食べ物を少しずつ食べようとしたところにあります。 その意味では、「食べ放題」とはちょっと意味合いが違うことになりますね。 なお、方向を間違えたものとして(?)日本の「闇鍋」があります。
欧州でこうした食事形式が発達したのは、 やはり「個人主義」が発達していることと関係が深いでしょう。 「好きなものばかり食べていると栄養バランスが・・・」「太ってしまう・・・」という 声も出るかもしれませんが、それは子供ならいざ知らず、 成人にもなれば「自己責任」ということで議論にも上りません。 欧米では、あまり太っていると、自己管理能力を問われて、 就職にも影響を及ぼすことにもなるほどですから。
また、昔から欧州では、宗教が入り乱れている関係で、 様々な食事の禁忌(菜食主義者、豚肉は厳禁など)を抱えている人が 混ざり合って生活していました。 こうしたことを考えると、好きなもの(あるいは食べられるもの)を 自由に食べることができる食事形式が発達したのは、 ある種の必然なのかもしれません。
日本では歴史が浅いこともあり、価値観にまで踏み込んで考えることはできません。 流行りだしたのは高度経済成長期からで、 どちらかというと企業主義・集団主義の時代に受け入れられましたし。 「バイキング」という横文字が持つおしゃれなイメージがうけた、 というところもあるでしょう。 漢字にすると、つまるところ「食べ放題」ですからね。 冒頭の犬丸氏のネーミングセンスに感服するしかありません。
ホテルやレストランでバイキング形式が普及しているのは先述しましたが、 「バイキング」という言葉は、その他にも様々な場面で使われています。
例えば、「ケーキバイキング」なら、ケーキの食べ放題。 これは、日帰り旅行のオプションでもよく使われていますね。 最近では、「デザートバイキング」というのも台頭してきました。
「講義バイキング」などという言葉も使われています。 大学の講義を自由に選べるということですね。 受けたくもない一般教養科目を並べられるよりは、よっぽど気が利いています。
遊園地にある、海賊船をモデルとした「バイキング」は、今も昔も人気の乗り物です。
そもそも「バイキング」は、8世紀〜11世紀にかけてヨーロッパ各地を荒らした 「ノルマン人(北ゲルマン民族)」のことで「海賊」の代名詞のように扱われています。 彼らの食習慣は「自分の分だけとって食べる」というもので、 先述した帝国ホテルの犬丸徹三氏は、そこに目をつけたわけです。
由来はどうあれ、そんな物騒な言葉が、1000年以上の時を経て、 遠く離れた日本で定着したわけですから、人類の文化も奥深いものですね。 |